外傷整形外科医スイスの田舎へ短期留学する

整形外科医がスイスに1ヶ月間短期留学しています

32. 8日目上腕骨脱臼骨折

1. 上腕骨の脱臼骨折が来た

4パートの脱臼骨折が昼前に来たようだ

夜からオペになるとのこと

 

Sommer先生のアンテロラテラルからの整復が見られるかなぁと楽しみにしていたが

残念、術前の透視下の整復操作ですぐ戻ってしまったようだ

上腕骨近位端の脱臼骨折で、medial hingeが残っているパターンはあまり外来での整復はしてほしくないとのこと

アホが適当に脱臼整復すると、骨幹部だけ整復されて、骨頭だけ取り残されmedial hingeがなくなってしまうパターンを何度も経験したからとのことである。

 

体位はビーチ

こうすると自然に骨幹部が真っ直ぐになるのでMIPOしやすいようだ

 

丁寧に展開、

三角筋は割と長めにスプリットして神経を見ていた

bursaは切除して、丁寧に剥離子で、前後とSABを剥離

sspispにファイバーワイヤーをかける

sscもかける

Sommer先生はkwireをジョイスティックにする方が好みなので、手綱はそんなに奥までかけないようだ

小結節と大結節骨片の間からねじ切りk-wireを骨頭にむけて、やや前方から地面に平行に入れて、それを後方かつ頭側に持ち上げて外反した骨頭を整復

追加のkwireで、骨頭をglenoidに突き刺して仮固定

大結節と小結節を糸でコントロールして整復ここで、透視を確認

かなりいい位置になっていたので

大結節とイントラフォーカルになる位置から骨頭にkwirepを打ち、グレノイドと仮固定していたkwireとネジ切りワイヤーを抜去

透視をみながら骨頭の傾きを調整して、大結節骨片のプレート設置位置より後方かつ、最後にファイバーワイヤーと干渉しない位置から骨頭にむけてkwireで仮固定

小結節も同様に結節間溝のわずかに後方で、ファイバーワイヤーの結紮と干渉しない位置で骨頭に向けて仮固定

骨幹部の位置を皮膚外から感じて、頭側から、骨幹部内側に向けて仮固定

ここで透視確認

ずっとAPしか見てないけど、ほぼ完璧な整復

ここまで20分くらい

あとはこの間と同じでプレートを入れて

最近位前方でK-wireで仮固定、いい位置であるとAPでわかったら近位2本挿入

最遠位でモノコーティカルにK-wireで仮固定

あんまり、骨幹部を外側に寄せすぎないように気をつけながら

近位はLHS5本

遠位はコーテックス2本(骨質がよかったので)

挿入

全て、Aiming armを使って挿入

遠位はAPでみて、最初にK-wireやドリルが皮質の最も外側であたっているか確認し、センターであることをみているようだ

ラテは全部固定が終わってから最後の確認のみ、肘伸展で過内旋で確認

ちなみにC-armはハングオーバーで後方から肩越しにGlenoidの向きに平行に挿入している

近位のLHSはいわゆるCalcarスクリューがなくても、しっかりsubchondralまで挿入すれば大丈夫と信じているとのことである

術後はいつもどおりAROM許可、4週外転は90度制限