外傷整形外科医スイスの田舎へ短期留学する

整形外科医がスイスに1ヶ月間短期留学しています

33. 9日目-1 朝にプレゼン+転子部のケースディスカッション

1.プレゼン

毎月1回、木曜朝にケースディスカッションしているとのこと

その場で20分でプレゼンしました

寮で夜遅くまで練習

当日はカンファ室ではなく、レクチャールームに移動

ちゃんと演壇があって、発表者ツールも使える(安心したぁ)

 

日本について、自分のキャリアについて、職場について10分弱で話した後

転子部のPosteromedial supportがない場合に、nailとneck骨片同士のcontactだけでは弱い可能性があるので、それを強くするためにanteromedial cortex contactという概念をお話しました。

そのための、整復法

そして、こちらではAPといわゆる日本におけるtrue lateralしか確認しないので

その前内側の評価が難しいこと

日本における軸位(こちらではoblique lateral view)で評価することについて説明

なんでも骨性コンタクトではなく、特にPosteromedial supportがない場合に限った話をstep by stepでしたので、否定的な感じはありませんでした

Something newなことやな、という評価でした

日本ではもう10年以上やってることなんですよ、というと驚いてました

 

2. Sommer先生のケースディスカッション

Sommer先生は症例をしっかりPPTに残していらっしゃるようなので(すごく大量のPPTファイルがPCに保存されている)、そこから選んでレクチャーしているとのこと

今回は、ドイツでGamma3で固定された症例について

X線をしっかりみるということ・X線は比較すること・患者の訴えにしっかり耳を傾けることが大切というお話でした

グラウビュンデン州の東の端っこに住んでる人で、どこかで怪我をしてドイツで転子部骨折の手術を受けた

3ヶ月経ってかなり痛むと

家の近くの整形外科医にいってレントゲン撮ってもらったら、問題ないねと言われた

でも痛みが続くので、みてくれませんか、メンタルっすかね?とコンサルトがあったらしい

確かにそのX線をみても、あんまりなんにもなさそうに見える

ここで、側面で髄内型になっているがもともと安定型っぽいし痛みの原因ではなさそうだ

Sommer先生の話とは全然別の話題になるが、確かに、このviewだとAnteromedial cortexの状態がよくわかるねぇとなった

 

Sommer先生は、これだけではわからない、術直後のX線を送ってくれ

と頼んだところ、送られてきた写真をみんなでみる

多少、テレスコがあるくらいで(ほんの2-3mm)あんまり何もかわらないように見えるが、

髄内釘とラグの交わるところを見てみると

3ヶ月後のX線は、なんとなく位置がおかしい

交わった部分のラグの下端と髄内釘のラグ挿入部分の切り欠きの位置の距離がほんのわずかに増えてる

→ラグのbreakgeやないか!

 

そして、雪深いところに住むこの患者は3ヶ月経って春になって病院にようやく来られたそう

おおう、完全にbreakageしとる

内反転位しながら微妙に内側だけ癒合しかけてる

 

癒合しかけてる部分をやや残しながら、その部分でclosed wedgeに骨切りして外反させてBrade plateで再手術したそうです。

 

大腿骨の骨折で痛みがある場合は、骨がくっついていない可能性をしっかり考える

X線をよくみる

比較対象がないと、breakgeもわからないこともある

大変勉強になりました