外傷整形外科医スイスの田舎へ短期留学する

整形外科医がスイスに1ヶ月間短期留学しています

52. 13日目(水曜日)TKA周囲骨折Biplate+上腕近位MIPO+大腿遠位Biphasic+頚部骨折FNS

昨夜から急患が入院したみたいで、今日はたくさん手術があった

 

1. 大腿骨遠位部 TKA周囲骨折

かなり遠位で折れているTKA周囲骨折

ダブルプレー

Christianが執刀(いままでMichelitsch先生って書いてた先生、もう仲良くなってしまいDr.Michelitschとか呼ぶことがないので、、、)

本当はRFNA+RFNA用ミニプレートでやりたかったとのことだが、なぜかsterileされてなくてプレートでやらざるを得なくなったとのこと

日本だったら待つかなぁとおもうが

すぐにOPしないと枠が足りなくなるというのが大きいようだ

まず外側からMIPO

VA-LCP Periarticular DF

遠位のセンターのスクリューは関節面に並行に

近位はaiming armがつけられる

ラージ規格のVAはスクリューがステンレスしかない

プレートはチタン

チタンにステンレスのスクリューをとりつけるため、OPTILINKというテクノロジーが使われているらしい(詳細不明、DPSの人に聞くのがよいんだろう)

 

外側 遠位6本、近位4本

内側はsubvastusで入って、今回は同側のProximal tibia plateをすこしひねって使用

 

内側も手慣れた感じで展開している。やっぱり上手である。

 

次の日、Sommer先生にはBiphasicでよかったぞと言われた。

Biphasicはスクリュー方向が変えられないので、あまりに遠位が小さいと本当に遠位が長く入れられるかしんぱいだからなぁ。かといってBiphasicつかってダブルにはしたくないだろうし。

 

2. 上腕近位3 part MIPO

Christianが執刀で、途中で会議のため抜けて、Thomas先生が入れ替わって執刀

基本的にはSommer先生のやり方を踏襲

Sommer先生のほうが、整復および仮固定→本固定の段階がかっちりしていてパターン化している印象

そういえば、PHILOS使ってた

Thomasに聞くと、基本的にはPHILOS、Sommer先生だけ違う会社の使ってると

この骨折は、どのインプラントを使うかというよりも整復が最も大事

なので一つのインプラントで練度をあげてやってるのさ、とのこと

Sommer先生はたくさんやってるし上手だから他のメーカーのつかってもいいけどねと

 

3. 大腿骨遠位骨幹部

3ヶ月まえにTFNAをした側の骨折 88歳

Thomas先生が執刀

Biphasicプレートでいく

曲がりがどうとか、どこにスクリューが入りそうとか術前計画しないで入るのでとっても心配

螺旋骨折で、オープンリダクション、鉗子で整復、MIPOパッサーでワイヤー固定

やはり近位が少し反って当たる

なるべく骨によせておきたいとのことで、最近位をおしこみつつLocking attatchment plate(LAP)で固定

ぎりぎりちょい外反したくらいでなんとかなった

近位4穴目はBicorticalでLHS、近位2穴目はとばして、3穴目にもLAPで固定

引き抜け防止に、最近位をケーブルワイヤー、2/3穴目をLAPでどうだろうと提案した。ケーブルワイヤーはいい選択肢だと思うが、LAP2個でなんとかなると思っているとのことで、今日はこの形となった。

Biphasicは分厚いしAiming armがないので横止めがどこにあるかわかりづらいのが大変とのことだっった。

 

4. 大腿骨頚部骨折

さぁ終わるかぁとおもっていると、大腿骨頚部骨折のFNSが入っていた

今日の夜勤の若いフェローが執刀しているが、なっかなか最初のワイヤーが決まらない。

ちなみに転位型であり、超高齢者。なぜBHAじゃないのか聞いてみると、左にBHAを昨年やったけど、肺がもともと悪いせいもあったのか前回術中CPAになったとのこと。

ボケボケ、超高齢者で彼女の目的は歩くことよりも、痛みなく介護されるいままでどうりの生活に戻すことということで、Collpaseするリスクは背負って内固定になった。

途中でThomas先生に執刀医が交代。

最初のガイドがちょうイマイチなところに入るのが連発していたので、彼はgive upしたんか?と聞いたところ

ERが忙しいらしくて、上のフェローからはよERにもどってこい、とせっつかれてたから交代したよ、とのことである。

こりゃ失礼しました。

整復位はまぁまぁ、それより早く終わらせることが大事だろう。

やや頭側に入ったが、許容としてさっさと固定終了となる。

次の日、Sommer先生がこれはきっとCollapseや、位置はもうちょっとこだわらんとねとおっしゃってました。

Sommer先生のところでは転位型でもFNSをすることが多い(若者スキー&パラグライダー外傷が多いから)けど、若者・整復位が良い・ちゃんとした位置に入れる、を達成すればだいたいなんとかなるとのこと。でも、超高齢者はもうどうしようもないなぁと。

ここらへんのさじ加減はむずかしい。

ちゃんとpublishされています。